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January 23, 2005 Sunday 

窓際の死神(アンクー)

柴田よしき 双葉社

帯には「おとぎばなしをモチーフに描く寓話的ミステリー」とある。実際そうなのだが、よくある童話の教訓を取り入れたパロディものと考えて読むとずいぶん違和感があるだろう。確かに作中に死神が登場したりおとぎ話がそれぞれの話の冒頭に登場したりはするが、中身はそれを全く意識させない『柴田節』炸裂のストーリーになっている。

柴田さんのファンならとっくにご承知のことと思うが、この人は実に女性の心理や行動を描くのが巧い。現実に身近にいそうだったり、あるいは自分の心の中にこんな『女』がいるかも知れないと感じさせる程だ。この本に収録されている二話の主人公達も、まるで知り合いの誰かのようなリアリティを持って自らの物語を語ってくれる。もしあなたがOLさんなら余計にそう感じるのではないか。

死神という存在とリアリティ、一見矛盾しているような言葉の組み合わせだが、読んで頂ければ必ず納得されると思う。絶対おすすめ。

ISBN4-575-23511-3 ¥1500+税

投稿者 Miyuki Noma : 06:28