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January 20, 2005 Thursday 

さまよう刃

東野圭吾 朝日新聞社

描かれる事件は、宮部みゆきさんの『模倣犯』を彷彿とさせる。また、現実社会でもこうした事件は頻発しているので余計にリアリティがあるが、現実と違うところは、犯人の行動課程や心理を知ることが出来るという点だろうか。それが実際とは違っているとしても、「きっとこんな感じなのだろう」と思わせてしまうのは作者の筆力の成せる技だと思う。

『模倣犯』を彷彿とさせる…と書いたが、物語のアプローチは全く違う。むしろ稲見一良氏の世界に近いか。

東野さんは、このところあまりミステリ寄りではない作品も多かったので、油断して読んでいたら途中の小さな仕掛けにすっかり騙されてしまった。(それが嬉しい)
この仕掛け、もしなかったとしても今ついている東野ファンは全然困らないだろう。いや、もしかすると仕掛けの意味に気づかずにスルーしてしまう読者もいるのかも知れない。しかし、ここがミソですから、くれぐれもお見逃し無く。

ISBN4-02-257968-4 ¥1700

投稿者 Miyuki Noma : 04:49