漫画を描く道具について・3
 プロの必殺ツール

 高度なテクニックを使うようになると、いろいろ補佐してくれるツールが必要になります。いままでご紹介したものに比べて、値段も高価ですし、買うときは失敗のないようにしましょう。

 デザインペン

 デザインペンで最も名前が知られているのは「ロットリング」でしょうか。また、同じロットリング社の「ラピッドグラフ」も沢山店頭にありますね。「ロットリング」は、少々インクが詰まりやすかったので、改良型が「ラピッドグラフ」だったそうですが、今度はちょっとインクの出が良すぎます。
 「ステッドラー」や「メカノーマ」からも対抗商品が出ていますが、私が今までに試した限りでは、ファーバーカステル社の「TG1・S」が、一番タフでした。

ファーバーカステルのデザインペン

 スクリーントーンについて

 最近は各メーカーがさまざまなトーンを作っているので、値段も下がりましたが、私が漫画を描きはじめた頃は、スクリーントーンはとても高価な贅沢品でした。
 ちなみに「スクリーントーン」というのはレトラセット社のトーンの商品名です。レトラセット社は、トーンのメーカーの先駆けだけあって品質は最高ですが、国内メーカーの追随はすさまじく、「アイシー」などの製品も今は全くレトラセット社に劣りません。
 逆に、国内メーカーの方が、漫画向けの柄を豊富に作った上、値段も安いので漫画界でのシェアは確実に変わっているでしょう。
 「サムトレーディング」や「デリーター」などは、通販で売り上げを伸ばしているようです。(追記:レトラセット社の国内代理店はすでに撤退してしまいました)

 トーンは、画面を演出するのに欠かせないものですが、必ずしも使わなければ漫画が描けないわけではないので、自分に合った使い方を探して下さい。

 ライトテーブル

 下書きのトレースやコピーの貼り込み、濃い柄のトーンを貼るときにはライトテーブルが便利です。以前の私の仕事場では各机の上に一台づつ置いてありました。
 ある程度高いものを買えば、使い勝手はそれなりですが、最初は安いものでも十分用が足ります。例えば、昔「TOO」という画材屋さんのオリジナル商品で一万円程度でB4サイズの紙が乗るものがありましたが、最近はどうなのでしょうか。
 今でも売っているかどうか未確認なので、わかったらまたここで紹介します。

 コピーフィルムについて

 コピー機の性能が上がった10年ほど前から、漫画の原稿にもコピーを貼り込むことが多くなってきました。なかには、完全に手描きでないと嫌だと思うこだわり派の漫画家もいらっしゃいますが、私は作業を簡略化した上で画面のクオリティが保てるならコピーを貼ることは「手抜き」ではないと考えています。
 コピーを使うのは、前もって描いておいた背景原稿などですが、人物の絵に重なって貼り込む場合は切り抜きが複雑になるのでコピーフィルムが便利です。これは、トーンのように裏に糊のついた透明フィルムなので、模様などをコピーすれば、オリジナルのトーンにもなります。

 アイシーから「アイシーコピー」という商品名で発売されています。A4サイズ5枚入りで¥1100です。

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